横顔



夢を見て、泣いて起きた。



「・・・・・よかった」

ここには私しかいない。
その時は、そう思っていた。

「何が良かったの?」
「!!」

窓のところに蓉子が座っている。
背を向けていたから気が付かなかったのか。

「いつからいたの?」
「忘れたわ。随分長くここにいたし。でも、寝言なんかは言ってなかったから安心して」
「・・・そう」

蓉子は窓の外に目を向けたまま、こちらを見ようとしない。
多分、彼女は私が泣いていたことを知っている。
いつもなら隣に座って私が起きるのを待っているから。
今日もそうして、私の顔を見て、気づいてしまったのだろう。


「・・・そういう優しさ、嫌いじゃないよ」

いつも完璧であろうとする彼女の、時折見せる不器用さがとても愛しかった。



あとがき
最短記録更新な予感。
何気なく書き始めるとたいがい聖蓉になります。
相当好きらしい。

初出 2004.9.18 ポケットの中のメモ帳


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