欠陥品



この心は欠陥品なんだって、ずっとそう思ってた。
そうでも思わないと説明がつかないことばかりなのだ。

当たり前でないこと、普通でないことで満ち溢れてる私の心は、
たぶんきっと、どこかに足りない部品でもあるのだろう。


「一夜、どうしたの?」
「・・・え?」

向けられていたのは友人の訝しげな目。
どうやらいつの間にか上の空になっていたらしい。

「ちょっと考え事、かな」
「それはいいけどさ、どうする?今度の日曜日」
「にち・・・曜日?」
「どこに遊びに行くか決めようって言ってたじゃない。千花はまだ生徒会の方行ってるけど」
「ああ、そうだっけ。ごめん、万葉」
「しっかりしてよねー」

からからと笑う万葉。
何も知らないからそうやって笑っていられるんだ。


あなたの事が好き。
打ち明けたらどんな表情をするだろう。
見てみたい。見たくない。
だって、お終いを迎えるにはまだ早すぎる。

「で、どうする?日曜」
「うん、そうだね・・・」

欠けた『何か』は何処にあるだろう。
見つけたら何か変わるだろうか。
絶望に近い期待を抱いて、窓の外に目を向けた。



あとがき
好きだからこそ、言えない事っていうのもあると思う。
だけど、抱え込んだところで結局はどうにもならないんだよね。

ここでは初オリジナル、です。
ノリはいつものマリみてとあまり変わらなかったりしますが。
どっちにしたって私が書くのはいつも百合なので。
あ、名前の読みは「一夜」→「いちや」、「万葉」→「かずは」、「千花」→「ちか」です。

初出 2004.10.4 ポケットの中のメモ帳


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