2月15日



今日は、何だか聖の様子がおかしいような気がする。
せっかく久しぶりに二人でお茶を飲んでいるというのに、さっきからそわそわしてて、落ち着きがない。
何というか、何かを言いあぐねてるみたいな感じだろうか。

「聖?」

呼びかけると、びくっと少しだけ体が跳ねて、そのまま止まった。
・・・少し、面白いかもしれない。

「今日はどうしたの?何か気がかりなことでもあるの?」
「えっ、いえ、そういうわけではないんですけど・・・」
「あら、言えないようなことなの?」

ちょっとからかい過ぎたのか、聖は俯いてしまった。

「今日は誰も来ないようだし、そろそろ帰りましょうか」

謝る代わりに頭を軽く撫でて、帰りの準備を促した。


「・・・」
「・・・」

門の方へ向かって歩く間も終始無言。
そして何故か聖は私の半歩後ろを歩いている。
ここしばらく聖とは会っていなかったし、私が何かしたっていうわけではないと思うんだけど・・・。
あれこれ考えていたから、お祈りになんか集中できなかった。
いつもよりもほんの少し早めにお祈りを切り上げて歩き出そうとする。

「っお姉さま!」
「な、何?」

意を決したような声に少々驚いた。
振り向いた先にはもちろん聖が立っている。
少し違うのは、顔が真っ赤になっていること。

「こ、これ!」

差し出されたのは白い小さな小箱。
紅いリボンが映えている。
これって、つまり・・・。

「深い意味はありませんからっ!」

言うなり全力で走って行ってしまった。
取り残される形になってしまったけれど、気分は良かった。

「そうか、これを渡したくってあんなにそわそわしてたのか」

白い箱を鞄の中にそっとしまって家路についた。
いつもと同じ帰り道なのに、気分が高揚していくのが分かる。


家に帰ったら真っ先に聖に電話をしよう。
嬉しかったことを伝えよう。



遅く来たバレンタイン、
贈られたチョコレートのよく知る味は、いつものものよりもずっと甘かった。



あとがき
妄想が、大暴走。
一度は諦めたバレンタイン便乗更新ですが、やらかしました。
でも、聖さまはチョコはあげてないと思います。
そして、バレンタイン当日に翌日の話を書いてしまうこのひねくれっぷりってどうなんだ・・・。


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